1975 年 24 巻 8 号 p. 629-635,639
われわれは最近染料中間体Chicago acidoにより惹起されたと考えられる即時型気管支喘息の1例を経験した.患者は36才, 男子で21才より染料工場の現場で働いている.24才の時Chicago acidの製造に2ヵ月間従事し, 31才の時再度従事した.再従事後半月でChicago acidの粉末吸入に伴い喘息発作を生じた.その後Chicago blue 6BおよびS acidでも喘息発作が誘発された.Chicago acidによるアレルギー検査で, 皮膚反応, PK反応, 吸入誘発試験で, それぞれ即時型陽性反応を示し, reaginの関与が考えられた.これら3種の化学物質の化学構造と抗原性について文献的な検討を試みた.