アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
Histamineのアジュバント関節炎抑制作用とその機構
和気 和也
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 25 巻 9 号 p. 649-657,691

詳細
抄録

ラットの一側の後肢足蹠皮内にアジュバントを注射した後, いろいろの期間histamineを1日2回皮下注射した.histamineはアジュバント関節炎二次炎症の出現を著明に抑制したが, 一次炎症やすでに確立された二次炎症に対しては無効であった.histamine遊離物質sinomenineにもhistamineと同様の効果が認められた.histamineの抑制効果は用量に依存して増大し, histamineの最も有効な投与時期はアジュバント注射後第5-10日の期間であった.histamine H_2-レセプター拮抗剤burimamideはhistamineの抑制効果を遮断したがH_1-レセプター拮抗剤mepyramineにはこのような遮断作用は認められなかった.以上の成績から, histamineのアジュバント関節炎抑制効果は, 抗炎症作用に基づくものではなく, おそらく, T-リンパ球その他の細胞性免疫に関与する細胞のH_2-レセプター賦活を介する免疫抑制機序によるものと思われる.

著者関連情報
© 1976 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top