1977 年 26 巻 10 号 p. 702-708,725-72
小児の気道疾患がアレルギー性であるか否かを識別するために, 健康小児の nasal smear およびアレルギー性気管支炎, 気管支喘息, 急性気管支炎の nasal smear と洗浄喀痰細胞像を比較検討し, 次のような結果を得た.1. 健康小児(0-12才)の nasal smear では, 年令に著明な差異は認められなかった.2. 気道疾患における nasal smear では, 気管支喘息の86.3%, アレルギー性気管支炎の74.8%にアレルギー所見を認めた.3. 気管支喘息の発作期と間歇期の nasal smear でアレルギー所見に特に差異は認められなかったが, アレルギー性気管支炎のそれでは有症状期の方が間歇期に比しアレルギー所見が高率であった.4. 洗浄喀痰中好酸球増多は気管支喘息の88.8%, アレルギー性気球支炎の89.1%に認められた.5. nasal smear および洗浄喀痰細胞像ともに好酸球増多を示したものは気管支喘息66.0%, アレルギー性気管支炎43.6%であったが, 喀痰と nasal smear 中好酸球増多には必ずしも関連性が認められなかった.