アレルギー
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西日本地区における空中飛散花粉および花粉症の調査 (第1報 花粉編)
樋口 謙太郎中川 俊二勝田 満江
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1977 年 26 巻 2 号 p. 93-103,106

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抄録

欧米では hay fever の名のもと空中飛散花粉のマップ, カレンダーが作られ, 患者への警告に利用されてきた.わが国では, 終戦後より花粉症への関心が高まり各地区ごとの花粉捕集が行われたが, 広範囲のまとまったものはできなかった.われわれは, 1972年8月1日から西日本地区アレルギー研究者の協力で, 標準花粉検索器を用いた slide glass 落下法による花粉捕集を一斉にはじめ, 染色, 鏡検は1ヵ所に集めて行った.1975年7月末をもって一応九州地方3ヵ年の成績 (17ヵ所) と中国, 四国地方1ヵ年間の成績 (10ヵ所) をまとめることができた.花粉飛散期間で九州の場合は九州よりも長く11ヶ月で, 南九州, 沖縄は年中飛散している.tree season はスギが最も長く約1/2を占め, マツがそれに続き (約1/3), ブナ, ニレ, カバノキなどは少ない.grass season はイネ科が大部分で, weed season は東京, 大阪に比べてブタクサはほとんどみられず, ヨモギ, イラクサ, カナムグラの飛散が多かった.また沖縄地方特有の花粉はモクマオウ科のトキワギョリウ花粉であることがわかった.

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© 1977 日本アレルギー学会
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