1977 年 26 巻 7 号 p. 542-547,564
in vitro の標的細胞破壊機序のモデルとして, T cell を介する PHA-dependent cell mediated cytotoxity(PDCC)と B cell 系を介するとされる antibody-dependent cell mediated cytotoxity(ADCC)を用いて17名の肺癌患者リンパ球機能を検討した.ADCC は ^<51>Cr-Chang cell と患者末梢単核球を混じ, 10^5倍希釈した抗 Chang cell 抗体を加え, 放出される上清中の ^<51>Cr を測定し % release で表現した.PDCC は患者末梢単核球に PHA-P を添加した培養系へ ^<51>Cr-Chang cell を加え, 上清中の ^<51>Cr の % release で同じく表現した.その結果, PDCC は肺癌群で有意に低下しており, ADCC は肺癌群とコントロール群の平均値で有意差は認められなかったが, 肺癌群は成績に変動が大きく高値群, 中間値群, 低値群に分け得た.以上のことから, 肺癌患者リンパ球の標的細胞破壊に関わる機能低下が示唆され, 担癌生体における免疫防御機構の異常がうかがわれた.