1978 年 27 巻 4 号 p. 465-470,474
各種肝疾患患者血清中のC1q蛋白量をSRID法で測定した.肝硬変12例の平均値は54.8±17.0μg/ml, 急性肝炎(9例)53.1±14.5μg/ml, さらに慢性肝炎(11例)48.3±7.3μg/mlとなり, いずれも健常人平均の34.7±7.5μg/mlより有意に高かつた.ところが, 肝硬変や慢性肝炎例では補体価低下例が多い.血清・血漿補体価難離へのC1qの関与の有無を知るため, 肝硬変症患者血清と血漿を4℃と37℃に放置し, その前後の補体価とC1q蛋白量・凝集活性を測定した.血清補体価は4℃で2-3時間放置すると著明に低下し, 5時間後では補体活性はみられなくなつた.一方血漿と37℃保存血清例での補体価とC1qの低下は明らかでなく, 本解離現象にC1qの関与していないことが推察される.