アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
成熟マウスのウサギγグロブリンに対する免疫学的寛容の誘導 : 抗マウス免疫グロブリン抗体の寛容成立におよぼす影響
野村 泰央
著者情報
ジャーナル フリー

1978 年 27 巻 8 号 p. 680-686,713

詳細
抄録

成熟 C3H マウスに超遠心で deaggregate した正常 RGG を投与すると免疫学的寛容が容易に成立するが, 少量の抗マウス Ig 抗体を含む deaggregated-ab-RGGではこれの成立は難しく, その閾値は高かつた.抗マウスアルブミン抗体を少量含むdeaggregated-MSA-ab-RGG でも同様だつた.また, deaggregated-RGG 中の抗マウス Ig 抗体の量が増すにつれ寛容が成立する動物の割合は減少した.すなわち, 10μg 以下の精製抗マウス Ig 抗体を含む deaggregated-RGG 1mg の投与ではすべての動物に寛容が成立したが, 抗体 25μg を含む時は寛容が成立する動物は約半数に減少し, 100μg を含めば寛容の誘導はほぼ完全に阻止された.次に, マクロファージの機能を選択的に障害するカラゲニンで前処理した動物では, 上記のdeaggregated-ab-RGGでも寛容が容易に誘導された.以上の結果から, 寛容原である RGG 中に生体の構成成分に対する抗体があれば, その特異性とは無関係に寛容の成立を阻止することが明確になつた.したがつて, 用いた実験系では, 生体内での免疫複合物の形成とそれのマクロファージによる貪食が寛容または免疫の成立の決定に重要な役割を持つと思われる.

著者関連情報
© 1978 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top