1978 年 27 巻 9 号 p. 756-765,768-76
マウス脾臓におけるヒツジ赤血球に対する plaque-forming cell 産生抑制を指標として, 各種呼吸器疾患患者血清の抑制効果の有無およびその効果とこれら症例の臨床免疫学的所見との関連性の検討を行った。1)健康人血清では70才以上の9例中4例に抑制効果が認められたが, 10-69才の35例中全例に認められなかった。2)肺癌血清では19例中19例, サルコイドーシス血清では活動期20例中18例および治癒期6例中4例, 肺結核血清では活動期13例中13例および治癒期8例中2例, 慢性ベリウム症血清では5例中5例に抑制効果が認められた。一方, 気管支拡張症および気管支炎血清各3例とも, 抑制効果が認められなかった。3)抑制効果を示す症例の出現頻度は, 肺結核で治癒期に比べて活動期で有意に高く, 肺癌およびサルコイド-シスでは病期による差異は認められなかった。4)血清の抑制効果はヒツジ赤血球に対する異種抗体によらない物質によることが示された。