1979 年 28 巻 1 号 p. 7-14
SLE 患者血清中に含まれる immune complex, 特にDNA-抗 DNA 抗体複合物が, ADCC 阻止により検出可能かどうか検索した.ADCC は Chang 細胞を標的とし, 正常人リンパ球を攻撃細胞とし, isotope release 法を用いた.ヒト変性 IgG や卵白アルブミン抗原抗体複合物では, ADCC はほぼ直線的な抑制を受けた.SLE 患者血清を10%の濃度で ADCC の系に加えると, 正常人血清 1.3±5.9% (mean±SE) に比し, 活動性 SLE 患者血清47.2±8.0% と, 有意に強い ADCC の阻止を示した.この抑制の強さは抗 DNA 抗体価(^<125>I-DNA 結合能)とは無関係であつたが, DNase 処理後, ^<125>I-DNA 結合能の上昇した血清 (DNA complex の存在が考えられる)で, 抑制が有意に強かつた.DNA を加えた SLE 血清を用いると抑制がさらに有意に強くなり, DNA complex が確かに ADCC を阻止することが知られた.