1980 年 29 巻 1 号 p. 10-15
ペニシリン(Pc)製剤によるヒトのI型アレルギー反応の症状所見を再現しうる動物モデルを用い, Pc製剤の惹起抗原性の分析に, in vivoおよびin vitro試験をおこなった.1.モルモットをAl(OH)_3ゲルに吸着したPcG-蛋白結合物で免疫した.2.得られた血清で受身に感作されたモルモットの気管と肺切片は, PcG製剤により, 試験管内で収縮し, ヒスタミンを遊離した.PcG製剤そのものの惹起抗原性を示している.3.PcG製剤をゲル濾過した試料を用いた実験から, この惹起抗原性の担い手は, 高分子物質であることが示唆された.4.感作された気管のBPO蛋白に対する反応性と本製剤に対する反応性との間に解離があった.BPO以外の決定基がPcG製剤によるアナフィラキシー反応の惹起に主要な役割をはたしていると考えられる.