1980 年 29 巻 2 号 p. 85-91
症例1は18才男の高校生で, 母親が絹糸による刺繍の内職をしていたため, 約4年の感作期間を経て発症をみた絹糸喘息例である.症例2は26才の主婦で, 住居の隣りのソバ精粉工場から飛散するソバ粉にて約1年の感作期間を経て発症をみたソバ喘息例である.症例3は16才男の高校生で, 絹織物行商業の父親が常時商品を家庭に持ち運んでいたため, 約3年半の感作期間を経て発症をみた絹喘息例である.これらの症例を基として, 現在までに報告されている非職業任の職業性喘息を分類してみると下記のごとくにまとめられる.A型:職業人における職業性喘息 B型:非職業人における職業性喘息 b_1型:家内制手工業型, 報告例は19例.B_2型:工場付近の住民型, 23例 b_3型:一般家庭型, 1例.このように概念整理しておくことにより, アレルギー学的, 産業衛生学的研究や対策が円滑に行われ得ると考えられる.