アレルギー
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Dermatophagoides farinaeに対するリンパ球のIn Vitroにおける反応 : 特異IgE抗体価との相関および減感作療法による影響について
平谷 美智夫[カセ]井 正春伊藤 茂押田 喜博向井 幹夫武藤 一彦
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1980 年 29 巻 6 号 p. 265-274

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抄録

ダニアレルギー患者と非アトピー者につき, D.farinaeに対するリンパ球の反応性と血清特異IgE抗体およびtotal IgE値を測定した.IgE抗体, total IgE値はatopy群はnon-atopy群にくらべ有意に高かったが, その差はIgE抗体でより著明であった.未治療のatopy群(16人)のD.farinaeに対するリンパ球の反応は, non-atopy群(20人)にくらべて有意に高かった.atopyおよびnon-atopyを含む42人においてリンパ球の反応性と血清IgE抗体価に正の相関(r=0.48, p<0.01)がみられた.以上より, ダニアレルギー患者はダニ抗原に対するIgE抗体産生のみでなくリンパ球の反応性も亢進していることが示唆され, 一方, non-atopy群はダニ抗原に対するリンパ球の反応が弱く, IgE抗体産生も弱いと考えられる.減感作療法の影響をみるために, 長期間治療を受けた者と未治療者について検討を加えた.リンパ球の反応は治療群で有意に低かったが, total IgE値および特異IgE抗体価では両群に差はみられなかった.以上よりダニアレルギーに関しては, 減感作療法はリンパ球の反応性と血清特異IgE抗体価に対して異なった影響を与えると考えられる.

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© 1980 日本アレルギー学会
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