アレルギー
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スギ花粉アレルゲンの分析
安枝 浩油井 泰雄清水 章治遠藤 久子信太 隆夫
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1980 年 29 巻 8 号 p. 763-772

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抄録

スギ花粉の0.125M NH_4HCO_3抽出液から, 硫安塩析, DEAE-セルロースクロマトグラフィー, ゲルクロマトグラフィーによつて, アレルゲン活性を有するFr.2-b-b, Fr.2-c, Fr.3-b-bの3分画を得た.それぞれの推定分子量は3.8, 1.7, 3.8×10^4であつた.皮内テスト, RAST inhibition testによる活性は, Fr.2-b-bが最も強く, しかも3分画ともcrude extractより強い活性を示した.ゲル内沈降反応の結果, Fr.2-b-bとFr.3-b-bは共通の抗原成分を, Fr.2-cは異なつた抗原成分を持つことが示された.Fr.2-b-bの活性は, 加熱処理, 蛋白質分解酵素処理により著明に低下し, 一方Fr.2-b-bを等電点電気泳動で分画すると, pH7から9の間に強い活性が存在した.これらの結果より, スギ花粉のmajor allergenは熱, 蛋白質分解酵素に対して不安定な塩基性の等電点を有する蛋白質であると推定された.

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© 1980 日本アレルギー学会
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