アレルギー
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気管支喘息患児におけるTheophylline体内動態 : 外来において実施可能な簡単なモニタリング計画およびその適用
柳浦 才三三戸 秀敏小林 愛子西村 友男中川 冨士雄早川 浩小林 登
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1980 年 29 巻 9 号 p. 827-835

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抄録

外来気管支喘息患児について, aminophylline(AP)内服後におけるtheophylline(TP)体内動態を, 簡易化したモニタリング計画を設定し検討した.また, TPの唾液中濃度(CS)の血漿中濃度(CP)代用性についても検討した.あらかじめ健康成人のTP体内動態を検討し, 患児のモニタリング計画として, 試料採取時間は1, 2および4時間とした.生物学的半減期(t1/2)およびクリアランス(C1)は大きな個人差がみられた.患児は健康成人に比較してt1/2は短く, C1は高値を示し, TPの体内消失が早い傾向が示された.また患児間でTPの吸収に差異がみられ, さらに発作時には非発作時に比較して吸収が早まる傾向がみられた.一方, TP由来の副作用を経験した患児は概して最高CP発現時間が短い傾向を示した.内服後2, 4時間において健康成人, 患児ともにCPとCS間に高い相関が認められ, 同時にS/P比(CS/CP)はほぼ同値を示した.著者らが喘息患児に適用したモニタリング計画は簡便で短時間内に個別のTP体内動態が把握でき, 臨床上実用に適していると思われる.また, AP内服後2-4時間のCSはCPをよく反映することが示唆された.

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© 1980 日本アレルギー学会
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