1981 年 30 巻 5 号 p. 227-234
正常T細胞は, 自己非T細胞に反応して幼若化を起こし, 分裂増殖することが知られており, この反応を自己リンパ球混合培養反応(AMLR)と呼んでいる.われわれは先に, 活動性全身性エリテマトーデス(SLE)患者と一部の非活動性患者では, AMLR機能が著明に障害されていることを指摘した.この欠陥が反応細胞にあるのか, あるいは刺激細胞にあるのかを明らかにする目的で, 互いに活動度の異なる3組の一卵性双生児SLE姉妹のリンパ球を解析した.その結果, 活動性SLE患者では非T細胞の刺激能力に欠陥があり, かつ, Tγ細胞およびTnonγ細胞双方の反応性に欠陥が認められた.一方, 欠如したAMLRを示す非活動性SLE患者は, 非T細胞とTγ細胞に欠陥を示したが, Tnonγ細胞は自己非T細胞に対して正常反応を呈した.非分画T細胞が正常のAMLRを示した非活動性患者群では, Tγ細胞の反応性にのみ欠陥を見い出し得た.さらに, 一卵性双生児姉妹の家族研究は, 病期の活動性を問わずSLE患者全般に認められたTγ細胞の反応性の欠陥が, 遺伝的に規定されたSLEリンパ球に固有の欠陥であることも併せて示唆した.