アレルギー
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成人気管支喘息患者の運動負荷試験 : 第1編 肺機能からの検討
西川 和子飯倉 洋治
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1981 年 30 巻 9 号 p. 911-918

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抄録

成人気管支喘息患者の病態把握と運動による鍛錬効果を検討する目的で, 成人気管支喘息患者47名, 健常成人7名にmaster-one-step法による運動負荷試験を施行し, その後の肺機能を測定した.また6ヵ月間の運動鍛錬後に, 7名の喘息患者に対し同様の負荷試験を施行した.結果は, 運動負荷試験後のEIAの頻度は63.8%であった.FEV_<1.0>の負荷後5分の変化は軽症-12.28±12.68%, 中等症-18.84±19.48%, 重症-31.13±17.74%であり, 重症度別グループ間に有意差が認められた(p<0.01).軽症31名の中でも14名は15%以上の低下を示した.6ヵ月後再び運動負荷試験をした7名のうち, 規則的に運動鍛錬を施行できた者は4名であった.この4名の結果は, 鍛錬前に喘鳴が聴取された3名中2名が, 鍛錬後の負荷試験でも喘鳴が聴取された.FEV_<1.0>の15%以上低下に関しては, 鍛錬前は4名に認められたが, 鍛錬後は1名であった.この4名の鍛錬群と3名の非鍛錬群は, 統計的検討による比較はできなかったが, 鍛錬群では, 負荷試験後の肺機能低下が改善される可能性も推察された.

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© 1981 日本アレルギー学会
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