1982 年 31 巻 10 号 p. 1070-1073
原因不明の疾患, 川崎病の病因として, 我々はダニ抗原の関与の可能性を示してきた.今回, ダニ抗原(50μg/ml), PHA-P(20μg/ml), PPD(2.5μg/ml)に対する川崎病患児リンパ球の反応を観察し, 以下の結果を得た.1) ダニ抗原に対する反応は, 患児リンパ球で有意に高かった(p<0.01).2) ダニ抗原に対するIgE RAST, 皮内試験はリンパ球の反応と相関しなかった.3) 男性患者のリンパ球のほうがダニ抗原に対する反応は高かった.4) PHA-Pに対しては, 川崎病患児のリンパ球のほうが低い反応を示す傾向がみられた.5)PPDに対しては差がみられなかった.以上の結果, ダニ抗原は川崎病発症に重要な役割を持つものと思われた.