1982 年 31 巻 2 号 p. 69-80
transfer factorのin vitroにおける生物学的活性をlymphocyte transformationの系を用いて検討した.ヒトperipheral blood mononuclear cellsよりプラスチックシャーレ, nylon wool columnを用いて付着細胞を除去して得たT細胞を, TFでパルス後レクチン存在下でLTを測定することにより, はじめて安定したLT増幅効果が認められた.一方, 付着細胞をTFでパルス後T細胞と組合せてLTを行った場合にはLTの増幅効果はみられなかった.このNWC非付着性の細胞を標的細胞としてSephadex G-25カラムより得たTF各分画のLT増幅効果を検討したところ, V画分に有意なPHAでのLT増幅効果があることが示された.生化学的分析の結果, V画分はアミノ酸分析では, glycine(68.5%), tyrosine(5.0%), serine(4.7%), glutamic acid(4.0%)などのアミノ酸が, またspectrophotometer, thin-layer chromatography, fluorescaminを用いた分析では数種類のペプタイドが含まれていることがわかった.