アレルギー
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気管支喘息の予後について : 大学新入生に対する気管支喘息検診後の予後調査
永田 頌史吾郷 晋浩手嶋 秀毅今田 義郎
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1982 年 31 巻 3 号 p. 175-180

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抄録

昭和47年から50年度までの大学新入生8055名より, 気管支喘息患者45名(喘息群)と小児期に気管支喘息の既往歴があるが入学前3年以上無症状の57名(寛解群)を選び, 検診を行った.4年後に追跡調査を行い, 対象者の80.4%から回答を得た.成績:1)喘息群の31名中11名が卒業までの4年間に発作がなくなり, 一方, 寛解群の51名中7名が再発した.検診前の無症状期間が4年以上の症例では, 再発が有意に少なかった(p<0.01).2)アレルギー素因の家族歴や皮内反応, 血清IgE値, 抗家ダニIgE抗体価(RAST)に関しては, 検診後の4年間に発作を起こした例と起こさなかった例で有意の差は認められなかった.3)アセチールコリン吸入閾値が2700μg/ml以下の症例では, これ以上の症例に比較して, 検診後の4年間に喘息症状を認めたものが多く, 有意の差が認められた(p<0.01).以上の成績から, 長期寛解が思春期以後も少なからず起こりうること, 気道過敏性は小児気管支喘息の予後に関しては重要な因子であることが示唆された.

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© 1982 日本アレルギー学会
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