1982 年 31 巻 9 号 p. 977-984
ヒト末梢血単核細胞のコロニー形成について基礎的検討を行った.コロニー形成は0.35%の軟寒天倍地を用いる一層法により行い, 倍地にはMEMのほか, 10%胎児ウシ血清と0.8%のヒツジ赤血球, さらに30μg/mlのphytohaemagglutinin(PHA)に添加した.コロニーは細胞数 2×10^5/ml以上で出現し, 5×10^5個で高い出現率をみ, 培養7日目に最高値を示した.concanavalin A (Con A) 30μg/mlやpokeweed mitogen(PWM) 10μg/mlの添加でもコロニー形成はみられたが, 形成率はPHAより低値であった.コロニー形成はBリンパ球分画では全く出現せずTリンパ球分画にのみ認められ, しかもその形成はCon AやPWM添加の場合にはPHAとは異なり, 単核細胞を別に添加することが必要であった.またコロニーはIgG・Fcレセプターを持たないTリンパ球(T non-γ)により形成された.一方, コロニー形成細胞は膜表面免疫グロブリンやIgG・Fcレセプターは保有しなかったが, Eロゼットを形成した.これらの結果よりコロニー形成細胞は特定のTリンパ球サブセットに由来するものと考えられた.