1982 年 31 巻 9 号 p. 1004-1007
モルモットを用いて新しい喘息の実験モデルを開発した.10%TDI酢酸エチル溶液を極細耳鼻科用綿棒で1日1回宛, 連続5日間モルモット鼻腔に塗布した.DTI溶液としての塗布量は1回両側で約10mgである.3週後に5%TDIで誘発したところ, 呼気延長をともなう努力性呼吸が試験動物中にみいだされた.誘発を反復することによって発作をきたす動物数に増加がみられた.モルモットがTDIに対し十分過敏となった場合には, 0.1%という低い濃度のTDIでも発作の誘発できることが判明した.肺の好酸球浸潤と末梢血好酸球増多症が試験動物中に認められた.この実験モデルは単純化学物質のみのモルモット経気道感作によって作成されたものであり, 実験手技が簡易であるところから, TDIによる喘息の研究だけでなく, 喘息のほかのさまざまな研究領域にもう有用なモデルであると考えられる.