1983 年 32 巻 1 号 p. 34-39
ヒトの気管支にはH_1, H_2の2種のヒスタミン受容体が存在し, 気管支の収縮, 拡張に関与すると考えられている.今回は遅発性喘息(LAR)におよぼすこれら2種のヒスタミン受容体の役割を検討した.H_1拮抗剤はクロールフェニラミン, H_2拮抗剤はシメチジンを用い, アレルゲン吸入試験で発現したLARおよび2相性気管支反応(即時型喘息+LAR)を呈した喘息症例に対して, これら薬剤の前投与による影響を観察した.1)H_1拮抗剤単独投与ではLARは明瞭には抑止されなかった.2)H_2拮抗剤の単独投与でもLARは影響を受けなかった.3)H_1拮抗剤とH_2拮抗剤の併用投与ではかなり著明に抑止され, かつその程度は2相性反応のLARの方が単独のLARよりも著明であった.4)即時性喘息(LAR)はH_1拮抗剤単独投与でやや抑止され, H_1とH_2拮抗剤の併用で軽度の増悪傾向がみられた.これらの事実は, LARを発現する喘息患者の気管支にはH_1, H_2の2種の受容体が存在し, かつLAR発症のメジエーターの一つとしてヒスタミンが参画しうることを想像させた.