1983 年 32 巻 10 号 p. 1005-1009
解熱鎮痛剤に対して過敏性を示すことが気管支喘息症例に稀ではないことは良く知られている.またこれらの症例では, 着色剤であるタートラジンに対しても過敏性を示し交差過敏性を示すことが多いとされている.しかし解熱鎮痛剤に過敏性を示さないでタートラジンのみで誘発される喘息症例は稀である.今回私どもは薬剤による喘息症状の誘発が疑われた46才の男性に内服負荷試験をおこない, 本症例がアスピリン, メフェナム酸などの解熱鎮痛剤との交差過敏性がないタートラジン喘息であると診断した.さらにタートラジン負荷時に経時的な採血をおこない, 血漿ヒスタミン値の変動を検討した.その結果, 前値O.94ng/mlであったのが一秒量が20%以上低下した時点で1.98ng/mlと上昇をみた.また負荷前での多核白血球からのSRSの遊離は2133uであった.本症例の予後はタートラジンの除外により良好であった.