1983 年 32 巻 12 号 p. 1172-1179
気管支喘息の発症発現とヒスタミン, SRS-Aとの相関を15名のアトピー型喘息症例で末梢血白血球を用いて検討した.末梢血多核白血球からのSRS遊離はモルモット回腸片の収縮により, ヒスタミンは蛍光法で測定した.その結果抗原吸入誘発試験陽性群でのSRS遊離能は陰性群に比して有意に高値であった.さらに抗原吸入誘発でのCa-Iを使用した多核白血球からのchemical mediator遊離量の経時的な検討では, ヒスタミン遊離は抗原吸入10分後で最低であり, 一方SRS遊離能は20分後で最低であった.これらの結果はSRS-Aやヒスタミンが抗原吸入により多核白血球から遊離されるため, さらにCa-Iを加えても多核白血球からのchemical mediator遊離の残存能力が低下しており, 喘息発症発現に末梢血白血球からのchemical mediatorの関与を示唆するものである.