アレルギー
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土鳩生棲地区住民における血清中抗ハト抗体の検索
秋本 敏佑冨岡 玖夫熊谷 朗吉田 亮
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1983 年 32 巻 3 号 p. 149-157

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抄録

過敏性肺臓炎のうち比較的抗原の明らかになっている鳩飼病患者血清をもちいて起因抗原を検索した.この抗原をもちいて, ハト由来抗原に暴露されていると考えられる.土鳩生棲寺院に勤務する職員の血清中の抗鳩由来抗原にたいする抗体(抗体ハト抗体)の出現頻度を調べた.また同時に, 血清中抗ハト抗体の出現頻度と臨床症状, 環境因子, とくに鳥類飼育歴, 空中散布抗原などとの関連性も調べ以下の結果をえた.1)ハト糞便中の主要抗原は, Finkらの報告したX-PGGに相当すると考えられた.この抗原はハト血清中のγ-globulinと同一抗原性を示した.2)土鳩約600羽が生棲する寺院境内に勤務する職員135名中27名(20%)に, ゲル内沈降反応で検出される抗ハト抗体が証明された.当該地区に近い病院勤務者100名中8名(8%), 当該地区より遠隔地の医学部学生30名(3.3%)に沈降抗体が証明された.3)受身赤血球凝集反応で測定した.抗ハト抗体価は, 寺院勤務者の血清中では高い値を示し, 対照群では低値であった.4)寺院境内から採取された空中塵埃中には, ハト由来抗原が存在した.5)寺院職員に明らかな過敏性肺臓炎症状をもつ患者は発見できなかった.

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© 1983 日本アレルギー学会
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