アレルギー
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細胞脱感作に関する基礎的研究 : 第2編 細胞脱感作の発生機構:細胞膜流動性亢進説
皆川 公延
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1983 年 32 巻 9 号 p. 947-959

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抄録

細胞脱感作は, 閾値下, 最適下および最適上脱感作の3つに大別されるが, それらに共通する主要な発生機構について, ヒト好塩基球を用いて検討した.その結果, allergen による specific cell-bound IgE の bridging は, 一方で標的細胞から histamine を遊離させる方向に作用し, 他方でこれを抑制する機構を作動させるという, 相反する二つの働きかけを同一の標的細胞に対して行うことを示唆する成績が得られた.後者の, histamine 遊離を抑制しようとする現象が細胞脱感作現象としてとらえられものと考えられることから, その現象の本質は, 標的細胞表面の cell bound IgE が allergen によって bridging をおこす結果として生じる細胞膜リン脂質のメチル化にともなって膜の流動性が亢進するためであろう, という仮説が導かれた.

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© 1983 日本アレルギー学会
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