1983 年 32 巻 9 号 p. 979-984
標的細胞として正常ラットの分離肝細胞を用い, 正常ヒトリンパ球を effector 細胞として, 抗肝細胞膜抗体によるADCC反応を in vitro で誘導すると, 分離肝細胞における albumin 生合成が著明に低下した.反応後, 細胞ペレットを遠心によって集め, 細胞内に形成されたLPOの量を検討すると, LPOの著明な増量が認められた.次いで, ADCC反応を行い細胞培養上清を分離すると, 上清中にはLPOは含まれていないが, 上清を分離肝細胞に添加培養すると, 肝細胞における albumin 生合成が着明に低下し, 肝細胞内に形成されたLPOは著明に上昇した.以上の結果から, ADCC反応による肝細胞障害には, K細胞から分泌される chemical mediator が関与し, 肝細胞障害の機序にはLPOの形成が密接に関連すると考えられる.