1984 年 33 巻 1 号 p. 52-58
同一喘息患者に, アセチルコリン(Ach)エアロゾルの吸入時間が1分, 2分, 3分の3通りのAch吸入試験を行い, エアロゾル吸入時間とAch閾値, PC_<20>, PD_<20>の関係を検討した.吸入時間を長くするほど, Ach閾値とPC_<20>は低下した.3分法のAch閾値は2分法の約1/2, log PC_<20>(3分)=0.811・log PC_<20>(2分)+0.274であった.しかし, Achの累積吸入量を反映するPD_<20>には有意な変化は認められなかった.また, 閾値濃度Achの吸入のみでは20%以上のFEV_<1.0>減少は起こらなかった.以上の結果より, Achの効果は蓄積することが明らかとなった.よって, Ach吸入試験では, (1)エアロゾル吸入時間を正確に決めておくこと, (2)吸入は常に最低濃度から開始することが必要である.