アレルギー
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喘息と感染 第2報 : 肺炎マイコプラズマ感染症における血清IgE値について
永山 洋子桜井 信清
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1984 年 33 巻 10 号 p. 884-894

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抄録

Phadezym IgE P-RIST^[○!R]キットを用いて, 肺炎マイコプラズマ(MP)感染症患児の血清IgE値を測定し, IgE値とMP感染症の臨床症状との関係を検討した.MP感染症において血清IgE値が高かったのは喘息児(喘息群)だが, 喘息児でなくても喘鳴を呈した児(喘鳴群)や遷延性の咳嗽を伴った児(遷延性咳嗽群)において血清IgE値は高かった.その他のMP感染患児(一般群)ではおおよそ正常範囲内が多かった.IgE値はMP感染による肺炎や発疹の発症とは関係がなかった.MP感染症の急性期と回復期のIgE値の変化はすべての患児にみられたが, 上昇したのは8%(9/106)であったのに対し, 下降したのは92%(97/106)で, 下降症例が多かった.IgE値が100IU/mlをこえた症例のHD-RAST scoreを検討したところ, 2+以上の陽性者は, 喘息群88%(15/17), 喘鳴群55%(6/11), 遷延性咳嗽群56%(5/9)であり, 一般児では低く11%(2/9)であった.MP感染時, 喘息以外で喘鳴や遷延性咳嗽を呈する場合は, 患児のアレルギー素因を考慮するのが望ましいと思われた.

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© 1984 日本アレルギー学会
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