アレルギー
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Aminobenzylpenicillinの単独投与で惹起されるモルモットを用いてのPCA反応ならびにその発来機作に関する研究
八木 和郎
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1984 年 33 巻 3 号 p. 148-157

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抄録

benzylpenicilloyl(BPO)タンパクの結合体は, ペニシリンアレルギーの主要な抗原決定基と考えられてきた.一方, ペニシリンアレルギーの誘発に高分子重合物が重要な役割を果たしている可能性も指摘されている.これらの物質は, 実験動物に免疫原性をもち, ペニシリンに対する特異抗体を誘導する.benzylpenicillinまたはaminobenzylpenicillinのpolymerは, これらの薬剤の水溶液中で形成されることも証明されている.また, 抗生物質中のpolymerがIgE抗体によるPCA反応の誘発に関与しているとする報告もある.しかしながら, 抗生物質中にpolymerが混在していることについての直接的な証明は少ない.さらに, polymerの関与のない高度に精製された側鎖あるいは母核でもPCA反応は惹起され, PCA惹起の原因がpolymerのみに由来するとは考えにくい.polymerの混在しやすいABPC製剤のPCA惹起原性を再検討し, 以下の結果をえた.1)ABPC製剤のゲル濾過により主要なピークはSephadex G-15, Biogel P-4でそれぞれ1つずつであった.2)ABPC製剤は抗ABPC IgE抗体による8日間PCA反応に強い誘発原性をもち, その特異性は定量PCA抑制試験で確認された.3)モルモットの正常肥満細胞および好塩基球に非特異的刺激を与えない濃度のABPC製剤で, 抗ABPC抗体で感作された細胞には特異的に脱顆粒またはヒスタミン遊離を引き起こした.以上の結果より, ABPC製剤はABPC polymerの関与の少ない場合にもアレルギー反応を誘発する可能性が示唆された.

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© 1984 日本アレルギー学会
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