1984 年 33 巻 7 号 p. 411-417
ヒトIgG, Agg-IgGおよびIgGの各フラグメントのSepharose CL-4B-protein A(S4B-pA)によるBリンパ球増殖反応におよぼす影響を検討した.1)Agg-IgGは1μg/mlの濃度から, IgGは10μg/mlの濃度から, 各々, 濃度依存性にS4B-pAによるlymphocyte proliferative response(LPR)を抑制した.このような抑制効果は, Agg-Fcγ, F(ab′)_2γおよびFabγでもみられ, FabγよりもF(ab′)_2γに強い抑制効果がみられた.モノマーのFcγには, このような抑制効果はみられなかった.2)S4B-pAをF(ab′)_2γ, Fabγ, Fcγで37℃1時間前処置させた後, 洗浄し非結合フラグメントを除去し, リンパ球浮遊液中に添加したところ, S4B-pAのリンパ球刺激活性は抑制されなかった.これらの結果から, Agg-FcγのS4B-pAによるBリンパ球増殖反応の抑制は, 細胞表面に存在するIgG-Fcレセプターを介し, モノマーのIgG, F(ab′)_2γおよびFabγは, IgG-Fcレセプター以外の細胞表面構造を介して抑制したと考えられた.