アレルギー
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ヒスタミンとヒスタミン受容体拮抗剤の誘導期におけるマウスIgE抗体産生に及ぼす影響
梅枝 愛郎中沢 次夫松井 茂吉江 康正笛木 隆三小林 節雄
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1985 年 34 巻 12 号 p. 1099-1104

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抄録

〔研究目的〕chemical mediatorの一つであるヒスタミンのマウスIgE抗体産生に及ぼす影響について, 2種類のヒスタミン受容体拮抗剤を用いて検討した.〔方法〕IgE産生系としてBALB/cマウスにコンニャク舞粉30μgをalum 1mgに吸着させて免疫した.拮抗剤は感作30分前, ヒスタミンは感作時に投与した.抗体価の測定は感作2週間後に採血し, ラットを用いたPCA法で行い, 陽性を示した最高希釈倍数の逆数を抗体価とした.〔結果〕0.05-5mg/kgのヒスタミン単独投与はIgE抗体産生に影響を与えなかった.H_1拮抗剤(1-10mg/kg)投与後ヒスタミンを抗原とともに投与すると対照群(抗原単独投与群)に比し, 有意な抗体産生の抑制がみられた.H_2拮抗剤では1-5mg/kgの投与で抗体産生の増強が認められた.両拮抗剤の併用では対照群との抗体価に差を認めなかった.なお H_1, H_2拮抗剤のみの投与は抗体産生に影響を与えなかった.〔まとめ〕本実験系での誘導期におけるIgE抗体産生は, 単回のH_1受容体刺激で増強され, 逆にH_2受容体の単回刺激で抑制されることが示唆された.

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© 1985 日本アレルギー学会
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