アレルギー
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施設療法中喘息児における外泊中血清IgE値および抗Dermatophagoides pteronyssinus特異IgE抗体の上昇 : ダニアレルギー喘息児における発作誘発因子としての家内ダニ抗原の役割
武藤 一彦高井 弘平谷 美智夫押田 喜博伊藤 茂絈井 正春上田 智子
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1985 年 34 巻 3 号 p. 173-183

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抄録

施設療法中喘息児において, 外泊後数日の内に発作が出現する現象は, 難治性喘息児治療における最も厄介な問題の1つである.家庭に多いダニ抗原が, 外泊時発作に占める役割を明らかにするために, 18名の喘息児と11名のネフローゼ児にて, 2回の外泊(4日間と8日間)期間前後における.IgE抗体を主とする免疫学的変化を検討した.喘息児では, 2回の外泊ともに, 血清IgE値, house dust(HD1)およびDPに対するPAST値の有意な上昇が認められた.更に, 血清IgE値の上昇率と外泊中発作点数は, 互いに相関する傾向を示した.これに対して, ネフローゼ児では, 両期間ともに, 血清IgE値の有意な上昇を認めなかった.以上より, 家内ダニ抗原の吸入が, 外泊時発作を誘発する可能性と, 施設療法の有効性に, parentectomyのみではなく, mitectomyも, 重要な役割を占めることが示唆された.

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© 1985 日本アレルギー学会
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