アレルギー
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猫毛皮屑喘息の1例
野口 昌幸中森 祥隆中田 紘一郎谷本 普一伊藤 征子
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1985 年 34 巻 4 号 p. 239-244

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抄録

26歳女性.家事手伝い.既往歴に小児期の気管支喘息がある.昭和52年頃から家で猫を飼うようになった.昭和54年頃, 感冒を契機として気管支喘息が発症した.アレルゲン検索の結果, 皮内テスト, IgE RAST, 吸収誘発試験とも室内塵が軽度陽性であり, 外来で減感作療法中であった.昭和58年8月, 部屋の掃除をしている際に喘息発作を出現し, 同日夕方重積状態で入院, ventilatorによる人工呼吸管理下に救命した.その後の検索で猫毛皮屑で皮内テスト陽性, IgE RAST score 3, 吸入誘発試験では, 10^<-2>猫毛皮屑抗原により12分で一秒量49%の低下を示し, 即時型反応陽性であり, 遅発型反応は認めなかった.total IgEは7400U/mlであった.以上より本例は猫毛により誘発された気管支喘息であると考えた.文献上本例は本邦第5例目の猫毛喘息である.5例の検討では, 猫毛喘息は比較的若年の女性に多く, 猫飼育後数カ月-3年で発症する.Coombs I型の機序が考えられ, 抗原の暴露を避けることによって発作は消失する.

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© 1985 日本アレルギー学会
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