アレルギー
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皮膚筋炎に合併する肺線維症のアンケート調査
肥田野 信金子 佳世子新井 洋子
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1985 年 34 巻 4 号 p. 245-251

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抄録

全国主要皮膚科診療機関よりのアンケートをもとに, 皮膚筋炎と肺線維症の合併を調査した.皮膚筋炎の総数は637例で, 成人は569例を占めた.1)85例(14.9%)に肺線維症が合併し, 38例がこれによって死亡した.男女とも約半数が死亡したが, 死亡率は50歳台, 60歳台に高かった.2)経過をみると, 急速に進行して2カ月以内で死亡する奔馬型, 2-数カ月で死亡する遷延型, 死亡を免れる良性型の3型に分類された.3)奔馬型の大部分は皮膚筋炎発症後6カ月までに発生しており, 皮膚筋炎発症以前に発病した肺線維症はすべて良性型だった.4)肺線維症と悪性腫瘍の合併は稀で8例のみであり, 両者の共存しにくい因子の存在が推測された.5)肺線維症合併群では他に比し爪囲紅斑, レイノー症状, 関節痛の率がやや高かった.6)本邦における皮膚筋炎に合併した肺線維症は外国報告に比し合併率, 死亡率ともに著しく高い.大部分が皮膚筋炎の経過中に発生する点でも異なる.7)皮膚に潰瘍の合併するタイプは特に経過が悪いことが多い.

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© 1985 日本アレルギー学会
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