アレルギー
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和漢薬「小青竜湯」の抗アレルギー作用特に既製抗アレルギー剤との比較
竹内 良夫西村 葉子吉河 達祐栗山 純一木村 義民雑賀 寿和
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1985 年 34 巻 6 号 p. 387-393

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抄録

小青竜湯は8種類の生薬から種成される漢方方剤で, アレルギー疾患の予防または治療に適用されている.しかし本剤の薬理作用および効果については報告が少ない.本研究はアレルギー抑制機作を知るために既存の経口抗アレルギー剤であるtranilastおよびketotifenと比較することにより本剤の薬理作用の解析を試みることを目的とし, 以下の成績をえた.1.ヒトの常用量から換算された量をモルモットに投与し, 2または3時間後にPCAに及ぼす影響を観察した結果, 3剤とも同程度の抑制傾向を示した.2.10日間連続投与後1または3日の中止後に全身性アナフィラキシーを惹起した.その結果, いずれの薬剤も投与によりショック症状の発現および血中ヒスタミンの増加は認められなかった.3.ヒスタミン, セロトニン, アセチルコリンの皮内注射による皮膚反応に対する各薬剤の拮抗作用は各々異なり, 小青竜湯はヒスタミン, セロトニン, アセチルコリンによる皮膚反応をすべて抑制したが, tranilastはヒスタミンによる皮膚反応を抑制せず, ketotifenはアセチルコリンおよびセロトニンによる皮膚反応を抑制しなかった.以上の結果から, 小青竜湯はtranilastおよびketotifenと薬理作用は異なるが同程度の抗アレルギー効果を有することが示唆された.

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© 1985 日本アレルギー学会
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