アレルギー
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好酸球反応とIgE産生 : 1.抑制性T細胞による好酸球反応とIgE抗体産生の調節
竹中 徹中峯 寛和前田 次郎栗林 桓一
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1985 年 34 巻 9 号 p. 874-882

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抄録

cyclophosphamide(Cy)あるいは大量のtetanus toxoid(HD-TT)をchallenge3日前に, TT-primedマウスに投与した場合, TT特異的IgE抗体の産生, 腹腔内好酸球反応の増強あるいは抑制が認められた.HD-TT投与マウス脾細胞をCy投与マウスに移入した場合, これら両反応は著しく抑制された.この腹腔内好酸球反応がDTH反応である事は既に報告した.それ故, Cy投与による両反応の増強はIgE産生, DTH反応を抑制する各々の抑制性T細胞(Ts)の消失によると考えられる.一方, Cyは腹腔内好酸球増加のみならず, 骨髄の好酸球産生も増強させ, 両反応はHD-TT投与マウス脾細胞の移入によって抑制された.この事実はCy抵抗性のT細胞subsetが好酸球コロニー刺激因子を産生することを示唆しており, 未だ明確ではないが, Tsにより直接的, 間接的に調節されている可能性がある.この実験系はhyper IgE syndrome, graft-versus-host diseaseにみられる高IgE血症, 好酸球増加, Tsの欠損などの現象を説明し得る可能性がある.

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© 1985 日本アレルギー学会
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