1985 年 34 巻 9 号 p. 899-904
アプロチニンを投与された, 患者血清中の特異IgEおよびIgG抗体を検討した.radioallergosorbent test test(RAST)法により測定された特異IgE抗体は, アプロチニンに過敏な18名の患者中10名, および過敏症反応を全く惹起しなかった44名の患者中14名にそれぞれ認められた.RAST陽性の頻度は女性およびアプロチニンの繰り返し投与例においてより高かった.一方, ゲル内沈降反応またはモルモットの受身皮膚アナフィラキシーにより測定された特異IgG抗体は全例陰性であった.以上の結果から, アプロチニンはヒトにおいても特異IgE抗体を産生することは明らかである.