1986 年 35 巻 10 号 p. 997-1002
前回われわれは, 気管支喘息児のnatural Killer(NK)活性を検討した.その結果は, 気管支喘息児のNK活性は, 年齢と一致した対照群に比して有意に低値であった.気管支喘息などのアレルギー疾患は家族性に発症することはよく知られており, またNK活性の低値を家族性に認めた報告, HLAとspontaneout cytotoxicityおよびantibody-dependent-cell-mediated cytotoxicity(ADCC)と相関があるとの報告もある.気管支喘息児のNK活性が低値を示したことのメカニズムを解明する目的で, 本症の両親のNK活性を検討した.その結果, 気管支喘息児の父親のNK活性は, 対照成人男性に比して有意に低値であった.母親は対照成人女性に比して有意の差は認めなかった.気管支喘息の父親, 母親のNK活性はインターフェロン(IFN)によって増強されたが, 対照群に比して有意にその程度は低かった.