1986 年 35 巻 10 号 p. 1011-1021
18名の非発作時の気管支喘息患者を対象に, メサコリン吸入誘発時の呼吸抵抗(Zrs)と, Krypton-81m(^<81m>Kr)換気分布の経時的な計測を同時に行った.気道の過敏性について, 両指標の鋭敏性を比較すると共に, 誘発喘息時の気道狭窄の局在性についても併せて検討した.Zrsはアストグラフにより測定し, ^<81m>Kr換気分布より肺を6領域に分け, 局所の^<81m>Krカウント比の時系列曲線を作成し, 局所のメサコリン閾値を求めた.18名のうち, 局所のメサコリン閾値を認めない3名を除いた15症例のうち, メサコリン閾値が一番低い領域が上肺野の者は1例で, 残りの14例のうち, 4症例では中肺野とも重なっているが, 全て左, 右どちらかの下肺野であった.この15症例を対象として, Zrs曲線を指標とした時と, 局所^<81m>Krカウント比の時系列曲線を指標とした時のメサコリン閾値(一番低い領域の閾値を選んだ)の相関はr=0.862と良相関を示した.また, Zrsの単位時間あたりの上昇度を気道反応性とし, 各領域の最小と最大のメサコリン閾値の差と気道反応性は粗な負の相関があることを認めた.