アレルギー
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T細胞活性化機構におけるC-myc遺伝子の発現に関する研究
鈴木 博史柏木 平八郎
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1986 年 35 巻 11 号 p. 1113-1118

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抄録

ヒトT細胞活性化におけるc-myc遺伝子の発現をNorthern blot法により調べた.T細胞をPHAで刺激すると, c-myc mRNAの量は刺激後2時間で最大となり, その後, 漸減した.PHA以外に, PMA, A23187, また抗原もc-mycの発現を誘導した.IL-2レセプター陽性培養T細胞をIL-2で刺激すると, やはりc-mycの発現が誘導された.C-mycの発現を誘導する条件がIL-2レセプターの誘導条件と類似するため, 誘導されたc-myc mRNAの量と, IL-2レセプターの発現量に相関があるかどうか調べた.その結果, PHAとPMAでは同程度に強くc-mycの発現を誘導したが, IL-2レセプターの誘導に関しては, PHAの方がはるかに強力だった.この結果は, c-mycの発現とIL-2レセプターの誘導条件は, 完全には一致しないことを示唆する.PMAはPHAに比べて, T細胞にIL-2を産生させる能力が弱いので, 外来性にIL-2を加えて, PMAとともにT細胞を刺激したところ, IL-2レセプターの誘導は, PMA単独に比べて著明に増加し, IL-2自身によるIL-2レセプターの誘導作用が示された.

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© 1986 日本アレルギー学会
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