1986 年 35 巻 2 号 p. 96-102
ウサギTgで近交系ウサギのF1ウサギに自己免疫性甲状腺炎を誘導し, 本疾患発症に際してみられる自己抗Tg抗体のイディオタイプを解析し, さらにこの自己抗体の産生をイディオタイプを介して操作できることを示唆する結果が得られた.1.F1ウサギの産生する抗Tg抗体の少なくとも一部は同一あるいは類似のイディオタイブ決定基をもっていた.2.抗Tg抗体に対する抗イディオタイプ抗体でF1ウサギを免疫すると, IgGクラスの抗・抗イディオタイプ抗体が産生された.3.抗イディオタイプ抗体で免疫されたF1ウサギから生れたF2ウサギ血清中には抗Tg抗体が検出された.これは, 抗イディオタイプ抗体で免疫された母獣から生れたF2ウサギでは, 抗Tg抗体に対する抗イディオタイプ抗体の産生が抗・抗イディオタイプ抗体によって抑えられた結果起こったものと考えられた.