アレルギー
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AspirinとExercise-Induced Brochospasm (EIB)
荒井 康男新田 啓次郎信太 隆夫
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1986 年 35 巻 3 号 p. 195-201

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抄録

aspirinに過敏な喘息患者があることは古くから知られているが, 一方においてaspirinが喘息発作を予防したり, 発作を寛解し得たとの報告も少数例ながらみられる.そこで, cyclooxygenase inhibitorのaspirinがexercised-induced bronchospasm (EIB)にどのような影響を与えるかを, アトピー型喘息患児10名においてmediator release抑制薬であるsodium cromoglycate (SCG)と比較検討した.aspirin 50mg/kg/日を2日間投与し, 最終投与4時間後に自転車エルゴメーターにて運動負荷を行った.SCGは20mg(1カプセル)吸入後ただちに運動負荷を行った.運動負荷時のaspirinの血清中濃度は6.4-31.3mg/dlであり, 従来いわれている血小板でのcyclooxygenase活性を充分に抑制する濃度を示していた.aspirin投与によりEIBの強度および回復はなんら影響を受けなかった.一方, SCGはEIBを有意に抑制していた.以上より特定の患者以外はaspirinは気道反応性に影響をおよぼさないものと思われた.

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© 1986 日本アレルギー学会
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