アレルギー
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コウヤマキ花粉症
芦田 恒雄松永 喬井手 武田端 司郎
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1986 年 35 巻 4 号 p. 245-249

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抄録

本論文は, コウヤマキ花粉症症例について述べられた本邦最初の報告である.症例は39歳の主婦, 1971年以後毎春くしゃみ発作, 水性鼻漏, 鼻閉塞を訴え, 1978年からは開花しているコウヤマキの切り枝を扱うと症状は増悪するようになった.鼻汁中好酸球検査陽性, コウヤマキ花粉, スギ花粉, ヒノキ花粉から抽出したアレルゲンエキスによる皮内反応, RASTが陽性.コウヤマキ花粉鼻ディスクを用いた鼻粘膜誘発試験も陽性であった.スギ花粉症患者のvolunteer 18名を対象に, コウヤマキ花粉アレルゲンエキスで皮内反応をおこなうと83%が陽性を呈した.これらvolunteerにはコウヤマキ花粉と遭遇する機会はなかった.コウヤマキ花粉が独立した抗原性を有するかどうかを検討するため, RAST inhibition, 抗スギウサギ血清および抗ヒノキウサギ血清を用いたゲル内沈降反応の二つの実験をおこなった結果, コウヤマキ花粉の抗原性は独立していると考えられた.

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© 1986 日本アレルギー学会
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