1986 年 35 巻 7 号 p. 437-446
アレルゲン吸入誘発喘息反応(AIA)におけるTXA_2の役割を解析するため, アトピー型気管支喘息患者15名にアレルゲン吸入誘発試験を施行し, 経時的に血漿TXB_2を測定した.1)血漿TXB_2は即時型喘息反応(IAR)及び遅発型喘息反応(LAR)の両時相で増加を認め, かつLAR時の血漿TXB_2の増加はIAR時のそれより多かった.2)LAR時の血漿TXB_2の増加とLAR時のFEV_<1.0>の低下率との間に正の相関が認められた.3)IAR時の血漿TXB_2量とLAR時の血漿TXB_2量との間に正の相関が認められた.4)TXA_2合成酵素阻害薬OKY-046の投与により血漿TXB_2量の低下とIAR, LARの抑制が認められた.5)IARのFEV_<1.0>の低下率とLARのそれとは強い正の相関が認められた.以上からAIAにおけるLARの誘導及び発現にTXA_2が重要な役割を演じていることが示唆された.