アレルギー
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正常呼吸器および線維化肺におけるランゲルハルス細胞の分布と動態について
三宅 弘章川並 汪一青木 見佳子馬杉 洋三
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1986 年 35 巻 7 号 p. 475-480

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抄録

外界との関門をなすケラチン蛋白に富む皮膚は抗原提示能を有するランゲルハルス細胞(LC)と共存し免疫防御メカニズム発現の最前線を形成している.正常上気道と肺組織, さらに各種線維化肺組織を材料に, S-100陽性組織球様細胞(LCをふくむ)の分布と出現を検索し, さらにこれらの細胞のケラチン抗体に反応する上皮細胞との関連性を知る目的で免疫ペルオキシダーゼ法を施行した.LCないしindeterminate cellは鼻, 咽・喉頭, さらに気管, 大型気管支までの粘膜中に散見された.ワルダイエル扁桃輪リンパ組織中のLCを含むdendritic cellとともに抗原伝達機能を担っていると考えられる.これら上位気道領域の基底細胞は表皮基底細胞同様ケラチン蛋白陽性を示した.末梢肺野領域では基底細胞を含め上皮細胞はケラチン蛋白陰性であり, S-100陽性組織球様細胞の出現を認めなかった.一方線維化肺においては末梢肺野においてもLCなどの著明な出現を認めた.同時に気道基底細胞由来とみなされるケラチン陽性立方上皮細胞の再生・増殖を伴い, 偏平上皮化生部はケラチンとLCに富んでいた.以上より線維化肺胞領域はS-100陽性組織球様細胞(LCないしindeterminate cell)の非特異的出現により皮膚と類似した抗原感知能力を具備するとみなされよう.

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© 1986 日本アレルギー学会
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