アレルギー
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アレルギー性肺疾患における肥満細胞の超微形態学的脱顆粒現象
松田 健
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1987 年 36 巻 1 号 p. 49-55

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抄録

正常肺, 線維化肺, 気管支喘息及び過敏性肺臓炎患者の生検肺組織を電顕的に観察し, ヒト呼吸器肥満細胞のアレルギー状態における超微形態学的特徴について検討した.観察された肥満細胞は安定型渦巻(scroll)構造優位型(S-type)と, 部分的脱顆粒状態を示唆する粒子(particulate)構造優位型(P-type)の二者に分類できた.P-typeでは粒子状顆粒はときに融合し, 化学伝達物質の急速な放出現象を示唆する迷路(labyrinth)構造(L-type)を形成した.正常肺と線維化肺ではL-typeは全く認められずS-およびP-typeが様々な程度に出現したが, 気管支喘息患者肺および過敏性肺臓炎患者肺では観察した肥満細胞の約1/4が迷路構造(L-type)を示した.これらの顆粒像の特徴からL-typeはアレルギー性肺疾患での典型的な脱顆粒形態の一面を示唆すると考えられた.一方, 同一組織中の隣接する肥満細胞間でもときのその顆粒形態に大きな違いがあることが認められ, 肥満細胞は微小環境単位で反応し脱顆粒現象を伴うものと考えられた.

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© 1987 日本アレルギー学会
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