アレルギー
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モルモット気道アレルギーにおける組織学的検討 : I.同種抗体受身感作モデルにおける単回抗原暴露後の好酸球浸潤と気道形態変化
湯川 龍雄寺師 義典福田 健牧野 荘平細野 克彦副島 和彦
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1987 年 36 巻 5 号 p. 227-237

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抄録

同種抗OA血清を用いてモルモットを受身感作し, 抗原吸入暴露後の気管支好酸球浸潤と形態学的変化について経時的に検討した.抗原暴露後, ほぼ6時間目をピークに気管支のsubepithelium, epithelium領域に著しい好酸球浸潤が認められた.気管支内に浸潤した好酸球の超微細構造を経時的に検討していくと, 抗原暴露6時間目前後より細胞質の空砲化が観察され, 更に時間の経過とともに特異顆粒のcoreの融解, matrix構造の崩壊から, 最終的には好酸球細胞全体の崩壊へとつながる一連の変化が観察された.気管支粘膜上皮の超微細観察では, 抗原暴露前に比較し, 好酸球特異顆粒に著しい変化が認められた抗原暴露24時間目以後よりciliaの破壊性変化が認められ, 好酸球浸潤との関連が示唆された.これらは, 気管支喘息における好酸球の役割を検討する上で極めて興味深い結果であり, 気道の炎症, 遅発型反応の機序を究明する気道アレルギー実験として有用であると考えた.

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© 1987 日本アレルギー学会
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