アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
選択性α_2受容体拮抗薬の難治性喘息に対する改善効果
吉江 康正飯塚 邦彦梅枝 愛郎小林 節雄中沢 次夫
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 36 巻 7 号 p. 413-416

詳細
抄録

難治性喘息患者に対し, 選択性α_2受容体遮断剤である2-〔2-(4, 5-dihydro-1H-imidazol-2-yl)-1-phenylethyl〕pyridine dihydrochloride sesquihydrate (DG-5128) 200mgを経口投与(頓用)し, 肺機能と症状の改善効果を検討した.対象は難治性喘息で喘鳴が持続している患者10名とし, DG-5128を服用後1, 2, 3時間の1秒量(FEV_<1.0>), 努力肺活量(FVC), 呼吸抵抗(R_<rs>)を測定し, 投与前と比較した.服用後のFEV_<1.0>, FVCは時間と共に増加し, 2時間後で有意(p<0.01)に増加した.R_<rs>は時間と共に低下し2, 3時間で有意(p<0.05)の低下であった.喘息の症状は10名中8名で喘鳴, 呼吸困難感, ラ音の軽快が認められた.DG-5128は, 細胞膜のadenylate cyclase系において受容体より抑制性GTP結合蛋白質(N_i)を介し効果が発現すると考えられる選択性α_2受容体遮断剤である.このことは本剤が気管支喘息の新しい種類の治療薬になる可能性があり, 気管支喘息とくに難治性喘息においては, α_2受容体の亢進又はN_iの過剰がadenylate cyclase活性低下をきたしている可能性も示唆しうる.

著者関連情報
© 1987 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top