アレルギー
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亜硫酸ガス暴露モルモット鼻粘膜のヒスタミンに対する過敏性および反応性の検討
雨皿 亮鵜飼 幸太郎坂倉 康夫
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1988 年 37 巻 1 号 p. 40-46

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抄録

亜硫酸ガスを暴露したモルモットを用いて, ヒスタミンに対する鼻粘膜の過敏性, 反応性について検討した.暴露濃度および期間は, 3, 8, 26ppmにて9日間と, 1ppmにて30日間とした.暴露終了後, 塩酸ヒスタミンの希釈液を10^2-15^5μg/mlまで8種類作成し, 濃度の薄い方から順に無麻酔のモルモット1側鼻腔に10μl注入し, 10分以内に誘発される鼻汁分泌の有無から過敏性閾値を測定した.その1あるいは5日後に全麻下に気切を行い, 逆行性にチューブを後鼻腔に留意し, 1側鼻腔に10^5μl/mlヒスタミン10μlを滴下し, その前後における鼻腔洗浄液中の蛋白量, アルブミン量, 及び鼻腔抵抗値を測定した.また, 組織学的な検討もあわせて行った.SO_2暴露群のヒスタミン過敏性閾値は, 8ppm群をのぞきいずれも対照群よりも有意に高値を示した.ヒスタミン誘発後の鼻腔洗浄液中の蛋白量, アルブミン量, 鼻腔抵抗値は暴露群においては対照群よりも低値を示し, 亜硫酸ガス暴露により鼻粘膜の過敏性及び反応性は低下することが示唆された.組織学的には繊毛の脱落及び杯細胞の増多はあるものの, 上皮が欠落するような大きな障害はなく, ヒスタミンに対する過敏性, 反応性の低下は慢性炎症状態と何らかの関係がある可能性が示唆された.

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© 1988 日本アレルギー学会
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